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武富士が行っていた違法行為とは

数々の違法行為は、単発的なものではない。たまたま不心得な社員が引き起こした個人的な不祥事などではない。武富士という組織の体質が、必然的に生み出したものと考えられる。武富士では、社員や営業所には過酷なノルマが課せられていた。しかも、そのノルマが達成できない場合には、幹部社員による暴言や暴行が常習的に行われていたことが、やはり数々の証言によって明らかになっている。「営業ノルマを達成できなくて怒鳴られるくらい、どこの企業でも同じだ」と言われるかもしれない。たしかに、営業部隊はそういう傾向を持っていることがしばしばある。わたしも以前、営業マンを経験しているので、上司から暴言の類を浴びせられたことは少なくない。

しかし、武富士の場合、虐待に等しかった。「バカ」「死ね」などといった暴言とともに、殴る、蹴るといった傷害行為は日常茶飯事だったという。そして、少しでも反発したりすれば、即刻クビである。こうした暴行は「バキ」と呼ばれ、武富士社内では「指導」とされていた。しかし、その内容は社員指導などとは呼べない常軌を逸脱したものであった。その「バキ」や、数々の就業員への虐待は、何か基準や指針があったわけではない。ノルマが達成できないだけでなく、社内の決め事を遵守しない、上司に逆らったなどといった、あいまいで場当たり的に行われたとしか思えないものも数多くあった。

たとえば、妊娠していて、しかも出産間近の女性社員に、真夏の炎天下でのティッシュ配りを強要していた。また、社内の会議室などに盗聴器を設置し、社員の言動を逐一管理していた。もちろん、武井氏の意にそぐわない社員が、それによって制裁を加えられたことは想像に難くないが、むしろ盗聴までするほど社員を徹底して信用していなかったところに、武井氏の性質が窺える。およそ人格や人権を完全に無視していたとしか言いようがない。さて、「バキ」が実際に行われていたことは、裁判でも確認されている。

三宅氏によるルポ「武富士残酷物語」の裁判で、法廷では武井氏の次男で武富士取締役だった武井健晃氏による「バキ」の証拠テープが流された。ところが、被告側弁護士から「『バキ』と呼ばれるものは行われているのか?」という質問に、証人の武富士社員は「上司からご指導をいただくことがあります」というあいまいな答えのみ。さらに弁護士から「その『ご指導』とは?」という突っ込んだ問いにも、「はい、『ご指導』は『ご指導』です」と、説明にならない発言を繰り返すばかりであった。そうした創業者幹部による独裁的かつ感情的な管理体制のもととなったのは、創業者である故・武井保雄氏の考えが根底にあるといえよう。