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もともと無理があった消費者金融のビジネスモデル

武富士に限らず消費者金融を取り巻く環境は厳しい。それは、この十数年にわたって段階的に続けられてきた法規制によるところも大きいが、もともとの消費者金融のビジネスモデルに根本的な問題があったとも考えられる。北健一氏が『高利金融』の中で指摘しているが、大手消費者金融は貸し付けた融資の返済を、利用者の収入ではなくほかのところに求めたというのである。融資をビジネスとして考えた場合、貸し付けた現金の元本と利息は、借り手の給与や事業による売り上げなどの生産的な収入に頼るのが健全である。ところが、借り手の収入等を無視して過剰に融資すれば、収入以外のところから現金を調達しなければならなくなる。

すなわち、「ほかの業者から借りる」という、生産とは関係のない手段に頼らざるをえなくなる。つまり、「大手のツケを中小に回す」ということで、業界が成り立っていた側面もあるというわけだ。今回の改正貸金業法の総量規制では、こうした「借金を返すための借金をなくす」という意味合いも含まれている。そうなると、これまで何とか保たれていた貸金業界も、変革を余儀なくされることとなろう。大手消費者金融では、すでにアイフルが私的整理である事業再生ADRによって経営再建を進めているが、その内情は厳しいとも言われている。

消費者金融関係者によれば、「アイフルでは契約部門の人員を大幅に減らし、回収に回しているらしい。だが、滞納や焦げ付きも増えているという話も聞く」とのことだ。あるローン会社から「事業者向け融資」を勧めるセールスの電話がかかってきた。わたしもフリーランスであるため、事業者ローンの対象者に該当する。そこでわたしは、収入が少なくなっているので融資はありかたいものの、返済能力も低下しているので慎重にならざるをえない。借りてもいざ返せないなどとなったら、御社に迷惑をかけることになると正直に言った。

それでもローン会社は、「どうかお願いします」と借り入れを勧めるばかりだった。それほど、業界としては極めて苦しい状況なのであろう。試みに、カード発行までの状況を聞いてみたところ、「通常では二週間ほどですが、今では一ヶ月ほどお時間を頂いています」という。年末に差し掛かっているということもあるが、小規模事業者のほうも厳しい状況なのであろう。今回の武富士の破綻は、「業界の異端児の末路で極めて特殊なケース」だったのかもしれない。しかし、ローンやクレジットカードを含めて、他人事といってはいられない状況なのではなかろうか。