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破産審尋とは

裁判所に破産申立を済ませると、その後に再び裁判所に出向いて、裁判官から破産申立書の内容について、口頭で質問を受けることになる。いわゆる「審尋」というものである。同時廃止破産の場合、この審尋は一回だけである。破産申立書の記載に大きな不備があったり、その記述内容に問題があるようなケースでなければ、何度も裁判所に呼び出されることはない。逆に言えば、申立書を完璧に記入することができれば、審尋はただ一回のみで、しかも極めて短時間に終了する。その審尋の手順だが、だいたい次のような流れとなる。まず、申し立てをしてから約一~二ヶ月後に、裁判所から審尋のために出頭するように文書が郵送されてくる。

弁護士に依頼している場合は、弁護士経由で書面が送られてくるか、弁護士から連絡が入る。指定された日時には、申し立てをした裁判所の「破産課」とか「破産係」等の部署に行って受付を済ませ、指示を待つ。遅刻は厳禁。弁護士と一緒なら、任せて待っていればいい。やがて、裁判所職員に案内されて審尋のための部屋に向かう。人数が多いときには順番待ちとなる。といっても、よほどのことがなければ、せいぜい五分から一〇分くらいで順番が来る。審尋は裁判官が一名で行う。使用されるスペースは裁判所によってまちまちだが、会議室のような殺風景なごく普通の部屋であることが多い。その部屋に、机をはさんで裁判官と申立人が向き合う。依頼している場合には、弁護士が申立人の横に並ぶ。

裁判官の手元には、提出した破産中立書が用意されている。審尋は、この申立書の内容を確認しながら進められる。裁判官によっても異なるが、だいたい「借金の総額」「現在の収入」「借金が増えた時期や要因」などについての確認と質問がなされる。前もって考えておけばいいような簡単な質問なので、緊張せずに応答すればいい。とは言っても、裁判所など初めての人がほとんどであろうし、長年の悩みと苦しみの元であった借金がどうなるかの瀬戸際である。緊張してしまうのも無理はない。だから、事前にある程度の答えを用意しておいたほうがいい。弁護士に頼んでいるようなケースでは、気の利いた弁護士ならば回答についてフォローしてくれるだろうが、一人で申し立てをしているような場合では、裁判官と一対一であるから、余計に緊張するし、前もっての準備もなしには話すことも戸惑ってしまう可能性が高い。

そこで、すべてではなくとも、最低二つくらいは答える内容を明確に把握しておくべきである。まず、必ず聞かれるのが「借金が大きくなった時期と要因」。これを明確かつ簡潔に答えられるようにしておくことがポイントである。要するに、裁判官に「こういう経緯で借金が増えてしまった。気づいたら返済不能なまでになってしまっていた」ということを、筋道立てて説明できればいいのである。たとえば、「結婚や出産で出費がかさんだ」「クルマの車検に費用がかかった」「家電製品を買い換えた」「ケガをして生活費が必要になった」などの理由でよいし、その際の新たな借金も、莫大な額である必要はない。それに、裁判官とて、三〇万円や五〇万円といった借金が、庶民にどれだけ重いものかくらいはちゃんと認識している。