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破産後の生活とは

免責審尋から一ヶ月ほど経ってから、裁判所から免責が決定したことを示す書面が郵送されてくる。その内容は、申立人の住所と氏名が記され、そのすぐ下に「主文」というタイトルとともに、「破産者××を免責する」と簡潔に書かれている。そして「理由」として、「破産者には破産法三六六条ノ九所定の免責不許可事由に該当する事実は認められない」と、型どおりの文言が付記されており、免責が決定した日付と、裁判官の署名、それから書面が正本であることを示す書記官の署名と捺印がなされている。ともかく、この一枚のそっけない紙によって、それまでずっと苦しんでいた借金返済の苦痛から、正式に解放されたことが示されたわけである。

この「免責」によって、事実上、借金の返済からほぼ完全に解放される。と同時に、「破産者」という身分もリセットされる。破産宣告を受けると、自治体に用意されている「破産者名簿」に記載されるのだが、免責によってその記載は削除される。よく自己破産した者を「破産者」と呼ぶことがあるが、正しくは「破産を経験した者」と言うべきである。免責によって、破産者ではなくなるからだ。そして、破産者でなくなることから、一切の制限からも解放される。これによって、破産にかかる一連の手続きが全て完了したことがわかる。一般に、自己破産で重要なポイントは「破産申立書」の作成である。

単純に債務が膨れ上がって返済不能に陥っているようなケースなら、申立書によって事実関係を明確にすれば、審尋を含め手続き上は何ら問題ないはずである。ところが、東京地裁の場合には、訪問者の事情などひと言も聞かず、「本人申立」と言ったとたんに、「それは断る。弁護士に頼め」と、極めて高圧的に、というより脅迫のような勢いで迫るのである。たとえ、「行政書士や司法書士のアドバイスを受ける」「中立には責任を持つ」「裁判所に何度でも足を運ぶ」と訴え懇願しても、職員が首を縦に振ることはまずない。

「司法書士に頼んでも、代表権がないからアナタが裁判所に来ることになるんだよ」などと、こちらが当然のように納得していることまでいちいちと念を押し、脅しまがいの言葉で威圧することも珍しくない。そして、「では、参考までに『破産申立書』をもらいたい」と頼んでも、ほぼ一〇〇パーセント断られる。ある職員などは、「申立書を配っている裁判所なんてない」と豪語した。しかし、これも完全なウソであることは、先に挙げた横浜地裁などの例で明らかである。日本全国の地裁が同様であれば、いわゆる「役所体質」としてあきらめるしかない。しかし、こうした態度で本人申立を拒絶し、弁護士への依頼を強要するのは、東京地裁だけのようである。