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貧困ビジネスを支えるクレジットカード

一方、消費者金融ほど注目されていないが、クレジットカード各社も苦戦を強いられている。そして、消費者金融が法規制による縛りが厳しくなっているのに対して、クレジットカードに対する締め付けは、従来に比べてそれほど強化されてはいない。まず、クレジットカードおよびカード会社そのものが、今回の総量規制の対象とはなっていないケースが多い。「アコム・マスターカード」のように、消費者金融がイシュアー(カード発行会社)になっているようなケースは別として、信販会社等のクレジットカード発行会社は、キャッシングに関しては消費者金融と同様に貸金業者として見なされるわけだが、実際には消費者金融ほどに厳しい審査をしているかどうかは疑問だ。

たとえば、インターネットで申し込みの受付をしているクレジットカードは少なくないが、ネット上での入力だけで契約が成立してカードが発行されるケースが珍しくない。消費者金融でもインターネットでの受付を行っている業者はいくつもあるが、それらは予備審査とでも呼ぶべきもので、正式な契約のためには収入を証明する書類を持参して、店舗または契約機で契約を済ませる必要がある。ところが、クレジットカードの場合は、発行会社によっても異なるが、ネットでの入力と申し込みだけで、数日後にはクレジットカードが送付されてくるケースがある。収入証明をカード会社に送付する必要もなく、収入に関しても自己申告だけでほかは一切不要である。キャッシングにしても、まったく同様である。

五〇万円以上の利用枠に関しては収入証明か必要となるが、それ以下であれば、やはり自己申告、書類不要で契約が成立する。いわば、カーローンなどとほぼ同じである。つまり、今日において、消費者金融が関連法規によって厳しい規制を受けているのに対して、クレジットカードの発行については、従来と同じように非常にゆるいままとなっているのが現状なのである。さて、このクレジットカードをめぐって、最近になって増える傾向にあるのが、「ショッピング枠の現金化」という手口である。この「カードの現金化」そのものは、とくに珍しいものではない。すでに九〇年代初頭から、街金の看板などに混じって、ガード下などでよく見かけたものと同じである。

そのシステムだが、以前はクレジットカードで購人した商品を転売して現金を得るという手口だったが、それでは得られる現金が大変に少なくなってしまうため、最近では別の方法を取る業者が多い。それは、まずクレジットカードの利用者が、現金化業者の指示にしたがって「指定された商品」をその業者から購入する。すると、その後で購入代金から業者が定めた分を差し引いた金額が、利用者に支払われるというものである。たとえば、指定された商品、業者は「オリジナル商品」などと呼ぶが、どのような商品なのか、その内容は明らかにされない。

とにかく、利用者は自らのクレジットカードを使って業者からその「商品」を購入する。すると、購入金額から一部が差し引かれて、利用者に銀行口座振り込みのような形で現金が支払われる。その後、購入した「商品」が利用者に送られてくる。以上が、「カードの現金化」の概要である。この現金化の理由は、電話やメールで済まされることがほとんどだ。業者も「来店不要」「全国どこでもOK」をうたい文句にしている。カードを利用してから、早ければ一時間以内に現金が支払われる。「××時までにご利用であれば、当日中にご送金します」などと、迅速さをうたう業者も多い。そして、後日送られてくる「商品」というのは、カー用品やアクセサリーなどから、何の価値のないものまでさまざまだ。

たとえば、パチンコ玉一個とか、つまようじ一本、そんな物が梱包されて送られてくることもある。要するに、「何かしらの物品を購入した」という見せ掛けでしかない。さて、問題は利用者が受け取る現金である。現金化業者は「還元率」という名称を用いる。その率は業者によって異なるが、八〇パーセントから九〇パーセントを提示しているケースが多い。つまり、還元率八五パーセントとする業者から一〇万円の商品購入をしたのであれば、八万五〇〇〇円か支払われることになる。これを見ると、一〇万円から業者が差し引くのは一万五〇〇〇円であるから、それほど悪質と感じられないかもしれない。また、形だけとはいえ商品を購入しているわけだから、違法ではないと思う消費者もいるかもしれない。