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決済代行会社の功罪

出会い系サイトを舞台にした詐欺的な手口による被害は、二〇〇五年頃から表面化していた。これは、女性会員を装った、いわゆる「サクラ」を使って男性利用者を言葉巧みに誘い、「会いたい」という約束を取り付けては、実際にはすっぽかすという手口を繰り返すことで利用料を使わせ、後になって編された男性利用者に高額の請求が届くというものであった。この利用料金の決済に、クレジットカードが使用されたのである。国際ブランドのクレジットカードが使えることから、利用男性は信用してつい使い過ぎてしまったという点も否定できない。しかし、実際にはサクラを使った詐欺まがいのサイトであり、とても有名なクレジットカードの審査に見合う業者とは考えられなかった。

すると、そこに海外の決済代行会社の存在が浮かび上がってきたのである。被害に遭った男性たちは、詐欺的な手口によるものであるから、この請求は無効であると主張した。しかし、国内のカード会社は、「利用実績があるなら、支払いは免れない」とこれを拒否した。だが、実際に利用料金を請求しているのは、発行したカード会社ではなく、海外に拠点を置く決済代行会社であることが判明した。このような、海外の業者が介在しているケースでは、トラブルが発生すると、その解決が困難になるケースが少なくないという。国内のカード会社であれば、イシュアーとアクワイアラーはほぼ同一である。

つまり、カード発行会社が、同時に加盟店管理も行っているケースが定番である。トラブルが起きても、比較的速やかに解決が進むことがほとんどである。しかし、海外の業者が関係し、イシュアーとアクワイアラーが別である場合には、実際のカード決済を海外の業者が行い、その請求内容を国内のカード会社に送ってきているだけというケースになるので、事実関係の確認だけでもかなりの手間と時間を要する。ほかにも、決済代行会社がからむ被害事例として、競馬やパチンコなどのギャンブル攻略法の詐欺まがい商法がある。「必ず勝てる」「素人でも楽に副収入が得られる」などといったフレーズで顧客を集め、まったく効果のない方法を法外な金額で売りつけるというものだ。

同じように、「必ず儲かる副業」「みるみる痩せるダイエット法」などといった言葉で人の気を引き、やはりまったく実効性のない、紙屑同然の「ノウハウ」を、数万円という高額で売りつける、情報商材の詐欺的な手口も問題となった。これらすべてが、国際ブランドのクレジットカードを利用できたことから、被害が拡大したとも言われている。クレジットカードは手軽であるため、高額商品の購入にも抵抗なく利用してしまう傾向が強い。加えて、国際ブランドという信用性も無視できない。このように見ていくと、クレジットカードの「クレジット」の意味は、はたして全うされているのかという疑問が湧いてきてしまう。現在、日本国内だけでも膨大な数のクレジットカードが発行されている。年会費無料のカードも少なくない。しかし、同じ国際ブランドであっても、カード会社によってサービスや対応がまったく違ってくるケースがあるので、要注意だ。

たとえば、近年になって合併して出来た某カード会社などは、すこぶる評判が悪い。わたしが複数の弁護士や消費者関係の活動家などに、「サービス等の点でよろしくないカード会社はあるか?」という質問をしたところ、全員がそろってそのカード会社の名を挙げた。確かに、利用者にも不満が多い。とにかく、あらゆる点で対応が悪いという。トラブルが発生した場合などは、ほとんど何もしてくれないのと同様だそうだ。ある弁護士は、「ある程度のノウハウが蓄積された、たとえば銀行系の歴史のあるカード会社などは、それなりに対応してくれるので信用があります」と話した。総量規制の影響で、ヤミ金よりもまずクレジットカードの発行が増えるのではという指摘もある。だが、現金化や決済代行会社の問題など、クレジットカードについても注意しなくてはならない要素は少なくないといえよう。