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盗聴・違法取り立て・過酷なノルマなどの不正・違法行為の歴史だった武富士

今回の破綻劇について、その原因をマスコミ各社はグレーゾーンの事実上の廃止と、それに伴う過払い金利返還の増加や収益力の低下などを挙げている。また、現在では多くの大手消費者金融各社が大手銀行の系列に入っているのに対し、武富士は独立系であることを指摘する声もある。さらに、今年六月に完全施行された改正貸金業法によって「とどめを刺された」との意見もある。しかし、ジャーナリストたちの中には、それ以上に「武富士の破綻は、むしろその社内体質に起因するもの」と指摘する声が多い。武富士についての記事「武富士残酷物語」によって同社から民事裁判を起こされ、その後勝訴したジャーナリストの三宅勝久氏は、「法改正などとはあまり関係なく、いわば当然の結果」と話す。

「武富士の破綻は、これまでやってきた数々の不正行為や不法行為、そして創業者一族によるワンマン経営が原因であることは間違いないでしょう」武富士では、九〇年代から多くの「噂」があった。取り立てが厳しいとか、社員が暴言や暴力を振るうとか、ヤクザと関係があるとかいう類のものである。しかし、上場企業ということや、いわゆる「武富士ダンサーズ」が登場する好感度の高いTVCMの影響などもあり、それらは噂に留まっていた。少なくとも、一般消費者にとって、武富士のイメージはそれほど悪くはなかった。ところが、数々の不適切な行いが三宅氏をけじめとする複数のジャーナリストによって明らかとなり、後述の「盗聴事件」の発覚に及んで、武富士の企業イメージは転落することとなる。

余談だが、当時ある高校では、TVCMの「武富士ダンス」を文化祭での出し物にすることに決まっていた。それが、事件の発覚によって中止するというハプニングまで起きている。武富士によるコンプライアンス無視、不正行為や不法行為は、顧客ばかりか社内でも横行していた。その実態については、三宅氏によるルポルタージュ、雑誌『週刊金曜日』に掲載され、『武富士追及』(リム出版新社)に収録された「武富士残酷物語」「武富士社員残酷物語」に具体的に描出されている。

まず、顧客に対しては、野放図で過剰な貸付と、威圧的で執拗な取り立てをはじめとする不法行為である。最初に、利用者の支払能力を無視して「とにかくどんどん貸す。客が要らないといっても貸し付ける」といった過剰貸し付けである。顧客が「一〇万円で十分」と希望しても、二〇万円、三〇万円、そして消費者金融では初回でも所得証明が不要な五〇万円まで借りるように勧める。というより、半ば無理やりに貸すのである。「何かの時の備えに」そんな甘い言葉で、とくに急ぎで必要でもないような現金を貸し付ける。似たような「過剰な貸付サービス」は大手消費者金融ではどこでもやっていたが、とくに武富士は顕著だったという。